アラサー処女は魔法にかからない

 

 

 

女風指名1人目~犬系年下セラピスト~

 

 

 

アカウントを作ってからアイドル現場の予定があったり生理が来たりして、予約のタイミングをしばらく逃し続けていたがとうとうその時がやってきた。

最初にDMをくれた時から親しみやすい内容を送り続けてくれて、やり取りが途絶えることのなかった年下犬系セラピスト(以降「犬くん」とする)を指名して予約を入れたのだ。

 

指名を決めるにあたって、顔を重視するべきか人柄を重視するべきかランキングを参考にするべきか色々と悩んだが、「この子なら嫌なことはしなさそうだし顔やテクニックが微妙でも後悔はしないな」と思える相手を選んだ。

処女の私はラブホテルなんて近寄った事すらないのでホテル先入りではなく待ち合わせで予約をした。

 

 

 

予約当日

待ち合わせ場所に15分ほど早く到着しそわそわしていると、犬くんから謝罪とともに遅刻するとのDM。ここで一気に緊張から現実に引き戻される。

 

これからエッチなことをするというドキドキは消え、マッチングアプリでアポをする時に1人で待っているような感覚になった。

「もう帰りたい」

 

 

ちなみに私はマッチングアプリにて相手との初回のアポで、「ちょっと遅刻します😭」「ごめんやっぱりあともう5分遅れます😭」をされ、萎えに萎えまくり会わずにバックれたことがある。

 

 

さすがに帰るわけには行かないしなあと思い、嫌な気持ちのまま数十分、近くをウロウロ歩きながら待った。

遅刻は当たり前の店なのかな、全然しなさそうな子なのになあと割と萎えまくった。(遅刻の理由は不明)

 

 

 

合流後平謝りされ、お詫びにコンビニスイーツでも…と言われたが時間ももったいないしそんな気分でもないのでお断りした。

ホテルに向かっている途中、車道側を歩いてくれようとしたのだろうけどそんなことされたことも無い察しの悪い処女はよくわからずオドオドしてしまった。

 

 

 

ホテルに到着後も謝られ、この後の予定がない事を確認されてから遅刻分の延長を店に連絡してくれたのでギリギリ許す。

そして犬くんから持参のペットボトルの飲み物(水)をいただいたが、事前調べにて飲み物を持ってきていただけることは予想がついていたのでこれが噂の!と思いながら受け取った。

遅刻の件はイライラしたが事前のDMのやり取りでお互いタメ口で話すような流れにしていてくれたので、人柄もあってかすんなりとタメ口で話すことが出来た。

 

少し気になっていた顔についてだが、幸いマスクやモザイクがなくてもそんなにパネマジが気になる顔ではなかった。強いて言えば顔よりも動きにどことなくオネエ風味があることが気になったくらいだった。

 

最初にカウンセリングを受け、プレイ内容について生々しい事を聞かれるのだが覚悟していたおかげが歳を重ねたせいか、ほとんど恥ずかしがらずに答えることができた。

1人でしていることについても話したが、偉い!と誉められた。オ〇ニーをしていることを年下に誉められる処女がこの世に完成するとは思いもよらなかった。

 

 

 

カウンセリングに対しては素直に答えたが、犬くんの目の前のその偉い女が処女であるということは話さなかった。

COしないと決めていたので、過去の経験に関しては適当に答えた。

 

理由は恥ずかしいから、バレないと思っていたから、処女なのを気にして施術して欲しくなかったからである。

 

カウンセリングを終えてシャワーを浴びる前に「1回ハグしとく?」と言ってもらい、されるがままハグをし、「大丈夫だよ」とトントンされた。

処女バレしないと意気込んでいたもののハグですら腕の回し方がわからず困惑した。

 

 

 

そして歯磨きとシャワーをして戻ると、部屋が暗くなっていて(暗めがいいとお願いした)、これがそういう雰囲気の部屋かあと1人で噛み締めた。

 

しかし意外と冷静なオタク、犬くんのシャワー中にXを開きオタク仲間にいつものようなリプライを送り、待っていた。

 

 

 

「ベッド行こうか」とここに来なければ一生言われることなど無かったであろう言葉をかけられ、指定された体勢になる。

ここからの流れは予習した通りであった。

 

指圧、オイル、性感の順にマッサージが行われていく。

オイルマッサージまでは雑談しながらの施術で、緊張はかなりほぐれて行った。

恥ずかしいからと一緒にシャワーを浴びるのは断ったが、裸を見られても割と平気だった。

 

顔や脚を褒められたりしたが、拗らせ喪女にはすべてお世辞にしか聞こえずドキドキ出来なかった。

 

 

性感はフェザータッチから入ったがこんなにくすぐったいものかと少しびっくりした。

 

そしてうつ伏せの状態で上裸の犬くんに上からくっつかれ、耳を舐められた。

 

音声作品をこよなく愛する私にとって、耳舐めは1つのロマンだったが、感想は「…こんなもんか?」だった。

 

 

仰向けになり顔を近づけられ、

「うわっ近すぎて焦点が合わない…!」

と思っていたら

「目とじて?」

と色気たっぷりボイスで言われた。

 

処女はキスの距離にも気がつかないのである。

 

 

 

ファーストキスの感想はというと

くっついた瞬間に唇全体を吸われたため

「(口が)デカい!」「熱い!」

という感じだった。

 

それから少ししたら舌が入ってきたが、舌の動きになんとなく合わせて動かしてみるのに必死で気持ちよさは感じられなかった。

あとヒゲがちくちくするなあっていうのと、口臭はしないけど唾液の匂いが少し残る感じがした。

 

「舌出して」と言われたのでそうしたら「上手♡」と褒められた。

これはその時はなんとも思わなかったが思い返すと少しときめいた。

 

 

 

そして全身リップに入ったが舌先が触れてるか触れてないかくらいでなぞられていて、これはいったいなんなんだ?舐められてるのか?と思った。

 

ただ乳首吸われるのは気持ちよかった。

 

それと犬くんはガリガリ体型だと思っていたもののかなりムチムチしていたのが記憶に残っている。

 

 

 

股間(色気0表現)を触られ、犬くんに

「うれしい♡濡れてる♡」

と言われたが、乳首以外で気持ちいいという体感があまり無かったため、

「濡れてたかあ良かった」

と思った。

 

 

 

そこからク〇ニや指で刺激をされるのだが、

 

強い。

 

とにかく想定していたより刺激が強かった。

 

しかし痛いわけでもないしもっと優しくして欲しいと言い出せずにひたすら耐えていた。

 

犬くんは気持ちよくなってもらおうと頑張ってくれているので強めの刺激をしばらく続けている。私は枕を握って気持ちよくもなければ痛い訳でもない、なんとも言えない感覚に耐えていた。

 

 

そして指挿入

 

 

 

…挿入?

 

「痛くない?」

と聞かれたが入っている感覚は0。皆無である。

 

思い返せばカウンセリングにて手前の方が気持ちいいと答えたのを誠実に守ろうとしてくれていたのであろうが、何しろ無である。

 

 

 

私は虚無になった。

 

そういえば

「4つんばいになって」「舌出して」「腕回して」という指示に

「はいっ」と言わんばかりの勢いで真面目に反応し続け、一連の流れが事務作業のように思えてきてもいた。

 

 

 

そして指を挿入しながら(感覚は驚く程に皆無)、覆いかぶさられ身体を揺さぶられる。

 

 

…これはいったい何の時間なんだろうか?

 

私は犬くんに顔を見られていないのをいい事に、ついに鏡状になっている部屋の壁を見つめ笑いを耐えるまでになっていた。

 

 

 

施術が終わったらしく、腕枕をされた。

「くっついて♡」

と言われたがこの状態でのくっつき方がイマイチわからない。

下側の手はどうしておくのが正解か、知っている人がいたら教えて欲しい。

 

 

 

犬くんに「イかせたかったな🥹」

と言われ

「なんかこっちこそごめん」と思った。

 

イキそうになるどころか声も全く出さなかった。

 

 

 

そうして私は腕枕をされている間にも

「この後シャワー浴びて会計して帰るんだな」

と究極に冷静であった。

 

 

 

アラサー処女にセラピストの魔法は効かなかったのである。

 

30を超えた童貞が魔法使いと呼ばれるように30を超えた処女も魔法使いとなり、熟練者のセラピストが使う攻撃魔法さえも防いでしまった。

 

 

 

理性を捨てきれないまま時間が終了し、ホテルから出て手を繋いで元の場所まで送ってもらったが、手の繋ぎ方もわからない魔法使いは、握る強さの加減がわからず添えるだけのような状態になり虚無りながら帰路に着いたのであった。

 

 

 

~Fin~